なんとなく「転職軸」を決めたほうが良いというのはわかるけど、
具体的に必要な理由とか、どうやって決めるのかイメージできない。
時間もないし、とりあえず転職活動を始めてはダメかなあ?
転職活動を始める前に、かならず転職軸を決めておきましょう。
「転職軸を決める」と聞くと時間と手間がかかりそうで、足踏みするような気持になるかもしれませんが、実は先に決めておいた方が「時短」にもなります。
転職によって、あなたの将来の方向性は変わります。
そして、どちらの方向に転換するのかコントロールするために「転職軸」は重要です。
おっくうかもしれませんが、実は考え始めるととても楽しくなりますよ。
ぜひ、今回の記事を読んで早めに取り組んでみましょう。
なぜ転職軸が必要?
判断軸になる
例えば、A社・B社の2社に内定が取れたとします。どちらに入社するのが正解でしょう?
A社:年収100万円アップ。残業は多くなりたまに休日出勤もある
B社:年収は変わらず。残業は今より少なく水曜日はノー残業Dayという決まりがある
結論、どちらが正解かというのは人によって違いますね。
人にとっては良い条件だったとしても、あなたに当てはまるわけではありません。
転職軸とは、「転職における自分の軸をはっきりさせる」ことです。
誰でもない、あなた自信が今後どのように満足した人生を送りたいかをしっかり考えておきましょう。
転職活動の「正解」は誰にも分りません。
強いて言うならば、将来振り返ったときにわかることでしょう。
ですから、転職活動中は色んなことで迷うでしょう。
例えば、
- 自分のアピールポイントをどこにするか
- どの企業に応募するか
- どの転職エージェントに登録するか
- 2社同時に書類選考にうかったときに、どちらの面接を優先するか
- どの企業、またはどういった条件の内定が取れた時点で転職活動を終了するか
正解が見えないからこそ、あなたは誰かに頼りたくなるかもしれません。
それはエージェントの担当者であったり、知り合いであったり、転職ブログかもしれません。
あなた自身の軸がハッキリしていないと誰も正しいアドバイスはできませんし、仮に「こっちがいいよ」と言われたことであっても、それはその人の軸でしかないのです。
アドバイスをもらいたい場合は、あなたの軸を伝えた上でお願いしましょう。
時短になる
いざ転職活動をはじめると、決めることが多くて大変!
しかも条件の良さそうな求人はどんどん埋まっていくし、焦る!!
転職活動では、即断即決できることがとても重要です。
毎日新しく出てくる求人、一方ですでにポジションが埋まって終わる求人など、1日で求人の状況がガラッと変わりとにかく流れが早いです。
多くの求人票の中から、素早くどの企業に応募するか決めなければいけません。
「年収はA社がいいけれど、働き方はB社が良いんだよな、どっちにすればいいんだろう・・・」と迷っている暇はありません。
また、多くの場合は「内定から1週間以内に入社するか回答ください」と言われます。
極めて短期間に、将来に影響する多くの事柄を決断しなければならないのです。
さらに転職活動中は、ライバルがいることも忘れてはいけません。
あなたが迷っている間に、同じ時期に転職活動しているライバルがどんどん席を取っていきます。
そんな中で、後悔の少ない選択を行うために「転職軸」は強力な武器です。
迷った時には自分の転職軸を確認しながら、どんどん判断していきましょう。
後悔が少ない
即断即決が必要という話をしましたが、その精度ももちろん重要です。
ランチに何を食べるかを決めるのとは訳が違いますからね。
事前に自分の転職軸があれば、即断しても方向性が合っているので安心です。
後悔が全くないと言い切れるわけではありませんが、逆に決めていなければ、ほぼ確実に後悔すると言えます。
たくさんの求人票を前に迷う時間を毎回持つくらいなら、先に少し時間をかけて転職軸を決めてしまって、早く正確な判断ができるようにしておきましょう。
転職軸をどう決めるか
では、具体的にどのようにあなたの転職軸を決めたらいいでしょうか?
転職軸を決める心構えと方法を以下にまとめておきます。
我がままになる
まず「わがまま」になりましょう。
親の期待、世間体、ライバルの様子など、周りのことは二の次です。
あなたが本当に望んでいるものを見極めることで、より後悔の少ない転職軸が見えてきます。
周りのことを考えて選んだ転職軸は、もはや「自分の軸」ではなく「他人軸」です。
「あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない」
Apple創業者のスティーブ・ジョブズの名言です。
誰かではなく、あなた自身の人生なのです。
長期視野で考える
できるだけ先の人生の展望を想定して、逆算しながら今回の転職軸を決めましょう。
先のことほど、はっきりわからないと思いますが、その場合は抽象的で良いですが、「どうなっていたい」よりも「何を大切に生きていたいか」に視点をおいてみましょう。
「どうなっている」はあくまで手段です。例えば「部長になる」というのは、突き詰めると何を求めているのでしょうか。
地位?年収?人脈?それとも部長でないと達成できない夢がある?
もしかしたらそれは「部長」にこだわらなくてもできるかもしれません。
一旦「どうなっている」という展望を想定したとしても、具体的にその状態は自分にとって何を意味するのか。何を得たいのかについて深堀しておきましょう。
そこから逆算して、今回の転職では「何を得たいのか、どこまでを目指すのか」を決めていきます。
抽象的→具体化する
例えば転職軸を「働きやすさ」にしたとします。
「働きやすさ」というのは、具体的にどんな状態でしょうか?
これも人によって様々だと思います。
「人間関係が濃くて、団結力がある」ことが良い人もいれば、「仕事を任せてくれて、ドライな人間関係」のほうがやりやすい人もいるでしょう。
一旦出てきた転職軸を、さらに具体的な条件に分解しておきましょう。
個々の求人案件を判断するときに、特に役立ちます。
なぜその軸なのか腹落ちするまで考える
即断即決するには、腹落ちするまで考え抜いておくことが必要です。
「なぜその転職軸なのか」「その転職軸というのは、具体的にどういうことなのか?」誰に聞かれてもパッと答えられるくらい、自分のなかでハッキリイメージしておきましょう。
腹落ちするには、思いや考えを書き出し整理してみること。
出てきた転職軸に対し、メリット・デメリットを書き出してみるのもおすすめです。
転職軸が絞れたら、順位を決める
転職軸は複数あって良いです。むしろ、2-3個ある人のほうが多いのではないでしょうか。
ただし、いくつかに絞れたらそれらの優先順位を決めておきましょう。
全ての転職軸が完全に合致する求人と出会えることはまず無いと思ってください。
そのなかでより自分の転職軸に合致する求人と出会うには、「どの転職軸が最も譲れないのか」優先順位を決めておくことです。
全ての条件が合致する求人に出会うまで転職活動をするという選択肢ももちろんありますが、転職活動を長期間続けるのはかなり負担になるのと、そうしている間に条件の良い求人が埋まってしまいチャンスを逃す可能性があります。
「現職でも満足しているので、もし良い求人があれば転職してもいいかな」と気長に探す場合であれば、良いと思います。
途中で変わってもいい
転職活動をしていく中で、いろんな求人を見ていくと自分の気持ちが変わることもあります。
それは自然なことなので、元の転職軸に固執する必要はありません。
あなたに新たな視点が見えてきた成長の証でもありますので、途中で柔軟に変えても問題ありません。
ただし、上記のステップを確認し再度深堀りして考えたうえで再設定しましょう。
転職軸の代表例
転職軸になり得る代表的な候補をピックアップしたので、参考にしてください。
もちろん、以下の項目以外でもいいです。
「なぜ、それが必要なのか?」を腹落ちして回答できるものを定めましょう。
①キャリアアップ
将来やりたいこと、実現したいことがあるのであれば、それに向けたキャリアアップが必要でしょう。
どんなキャリアを描きたいのか、そのために「今回の転職ではここまでのキャリアアップを目指したい」と転職軸にしておくとわかりやすいですね。
例えば、「将来、営業部長として活躍するために、今回の転職では数人部下を持つようなマネジメントの立場を目指したい」など、役職や仕事内容の変化が見込める転職軸になるかと思います。
②やりがい
仕事によって感じるやりがいを重視する人もいるでしょう。
どんな過程、どんなシチュエーションにやりがいを感じるのか、具体的に描いておきましょう。
いままで経験した業務と同じポジションでない限りは、求人票やHPだけでは「あなたの希望するやりがいが得られる求人なのか」わかりづらい部分でもあるかもしれませんので、面接や内定後の面談でも再確認しておきたいですね。
すでに経験のある仕事で、あえてやりがいを理由に転職するということは、「現職で物足りないポイント」があるからだと思いますので、そこを深堀して同じ不満の繰り返しがないようにしておくのがよいでしょう。
③居心地の良さ
転職先で長く仕事を続けたいのであれば、居心地の良さを転職軸にすることも十分大事なポイントです。企業側も、せっかく入社した人材には長期的に活躍してほしいとおもっています。
あなたがどのような状態であれば「居心地が良い」と感じるのか。いまの職場が居心地が悪ければ、「どうなれば、居心地が良い職場と思えるのか」を具体的に挙げておきましょう。
上記でも例を挙げましたが、「コミュニケーションが多い」ことを心地よく感じる人もいれば、過干渉でウザいと思う人もいますので、企業の風土とあなたの好みが合致することが重要です。
④私生活の充実
転職軸を「私生活」を起点に考えることもおかしいことではありません。
家族の状況や自分の人生に対する価値観によって、仕事の比重は人それぞれです。
また、人生のステージによっても「私生活」を重視するタイミングが必要な場合も多いです。
その場合、私生活を充実させるために仕事との線引きをどこに置きたいかを考えておきましょう。
例えば、「〇時までには帰宅したい」「年間休日〇日以上」「通勤時間は〇分まで」など、どこまでを仕事に費やしても良いかの境目をハッキリさせておくことです。
⑤成長環境
転職によって自分をさらに成長させたいという人も多いのではないでしょうか。
ただし、成長の方法は一つではありません。どのような環境に身を置いたら自分は伸びそうなのか、事前に想定しておくと良いでしょう。
成長環境の例は、
- 仕事自体がチャレンジングで、仕事に没頭するうち成長できそうな環境
- 企業の研修、育成制度が充実している環境
- 仕事時間にメリハリがあり、資格等の勉強時間が確保できる環境
⑥安定性
長く安定して仕事を続けていくことを転職軸にしたとき、気になるのは企業の業績や成長性ですね。求人に応募するかどうかを決める指標を決めておくと、判断が楽です。
例えば、「〇年以上売り上げが伸びている」「東証一部上場している」など。
投資家の目線に近いかもしれませんが、企業の安定性を見るには良い視点ですね。
ちなみに、安定性を転職軸にしたい人に強くお勧めしたいのは財務諸表が読めるようになっておくことです。企業の状態は財務諸表に表れます。
例えば簿記を学ぶと財務諸表が読めるようになりますが、興味がある人は 筆者が2か月で簿記3級を取得した ときの方法をまとめた記事もありますので、ぜひ一読してみてください。
また、あなた自身が長く勤められるように、「離職率」「平均年齢」なども安定性につながる指標になりえますね。
⑦年収
年収は、転職軸の中でも最もメジャーかと思います。
でも大きな落とし穴がありますので、気軽に決めないことをお勧めします。
結論、やみくもに「年収〇〇万円」「〇〇円アップ」と決めても全く意味がありません。
なぜ、その金額が必要なのでしょうか?
そもそも、自分の1か月の支出を把握していますか?本当に必要額でしょうか?
筆者は年収大幅アップした経験もありますが、逆に私生活が仕事で圧迫されて苦しい思いをしたことがあります。むしろ、給料アップした分はコンビニ弁当や残業時のタクシー代に消えるなど有効に使えませんでした。
お金があるに越したことはありませんが、「最低限いくら必要なのか」「増えた分を何にまわしたいのか」把握していないと、お金はあればあるだけ使ってしまって手元に残りません。
転職を考えるこの機会に、現在の収支・増えた分の収入をどう有効活用したいのか考えたうえで〇円UPを転職軸に定めましょう。
⑧人脈
転職軸に人脈づくりを設定しておく人もいるでしょう。
キャリアの先に、独立起業や、責任ある仕事を望む人には特に人脈づくりが大事です。
同じ会社にずっと勤務していくとしても、役職が上がるほど決断すべきことが多くなりますが、相談できる相手は少なくなっていきます。
よりレベルの高い仕事を乗り越えていくためには、尊敬できる人物や仲間との人間関係は必須です。
どんな人脈が欲しいのか、それはどんな環境で得られるのかを想定しておきましょう。
まとめ
転職前にかならず決めておいてほしい「転職軸」。
今回は以下の流れでまとめてきました。
- なぜ、転職軸が必要なのか
- どうやって転職軸を決めるか
- 転職軸の代表例
ある程度時間をかけて決めるものですから、「なぜ必要なのか」「どんなメリットがあるのか」という点を意識しておくと、おっくうに感じづらいのではないでしょうか。
あなたの転職活動の成功、そして今後の社会人人生がもっともっと向上しますように!
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